○甲佐町空家等対策の推進に関する条例
平成28年3月18日
甲佐町条例第4号
(目的)
第1条 この条例は、空家等の発生の予防、適切な管理及び活用促進を図るため、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「法」という。)に定めるもののほか必要な事項を定めることにより、空家等管理の重要性を明確にするとともに、防災、防犯、衛生、景観等にかかる町の安心かつ安全な生活環境を保全し、もって魅力あるまちづくりの推進及び地域の良好な景観の保全に寄与することを目的とする。
(1) 空家等 町の区域内に所在する建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)並びにそれに類似する土地をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
(2) 特定空家等 そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。以下、空家等には特定空家等を含むものとする。
(3) 所有者等 空家等の所有者又は相続人若しくは管理者をいう。
(4) 町民等 町民及び本町の区域内に存する建築物の所有者等をいう。
(5) 行政区等 地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条の2第1項の規定に基づく町長の認可を受けた地縁による団体及びこれに類する組織をいう。
(当事者間における解決の原則)
第3条 特定空家等に関し生ずる紛争は、当該紛争の当事者間において解決を図るものとする。
(所有者等の責務)
第4条 所有者等は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めるものとする。
(町の責務)
第5条 町は、特定空家等の発生を未然に防止することに努めるとともに、空家等の適切な管理及び活用促進がなされるよう、必要な施策を実施するものとする。
(町民等の役割)
第6条 町民等は、特定空家等の発生を防止するため、一人一人が主体的に協力し、安全で良好な生活環境の確保に努めるとともに、町がこの条例に基づき実施する施策に協力するよう努めるものとする。
(行政区等の役割)
第7条 行政区等は、第8条の規定による情報の提供を受けたときは、速やかにその情報を町に提供するものとする。
2 行政区等は、空家等の所有者等に関する事項その他当該空家等に関する事項について、町から当該事項に関する情報の提供の求めがあったときは、当該事項について有する情報の提供を行うとともにその他の必要な協力を行うものとする。
3 行政区等は、その所在する行政区の区域の空家等に関する情報の収集に努めるものとする。
(情報提供)
第8条 特定空家等と疑われる空家等を発見した町民等は、速やかにその情報を町又はこれらの空家等が所在する行政区等に提供するよう努めるものとする。
(相互の連携と協力)
第9条 町、所有者等、町民等、行政区等は、この条例の目的を達成するため、相互にその役割を理解し、連携し、及び協力するものとする。
(空家等対策計画)
第10条 町長は、空家等に関する対策を総合的かつ計画的に実施するため、法第6条第1項に規定する空家等対策計画(以下「空家等対策計画」という。)を定めるものとする。
2 空家等対策計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 空家等に関する対策の対象とする地区及び対象とする空家等の種類その他の空家等に関する対策の基本的な方針
(2) 計画期間
(3) 空家等の調査に関する事項
(4) 所有者等による空家等の適切な管理の促進に関する事項
(5) 空家等及び除却した空家等に係る跡地(以下「空家等の跡地」という。)の活用の促進に関する事項
(7) 住民等からの空家等に関する相談への対応に関する事項
(8) 空家等に関する対策の実施体制に関する事項
(9) その他空家等に関する対策の実施に関し必要な事項
3 町長は、空家等対策計画を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
(空家等対策審議会の設置)
第11条 法第14条の規定に基づく措置を講ずるため、甲佐町空家等対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会の所掌事項は、次のとおりとする。
(1) 第17条第1項の規定による特定空家等の認定の基準について審議すること。
(4) その他町長が必要と認めること。
3 審議会の委員は、町長のほか、地域住民、町の議会の議員その他の町長が必要と認める者をもって構成する。
4 審議会の委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 前3項に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、審議会が定める。
(立入調査等)
第12条 町長は、町の区域内にある空家等の所在及び当該空家等の所有者等を把握するための調査その他空家等に関しこの条例の施行のために必要な調査を行うことができる。
3 町長は、前項の規定により当該職員又はその委任した者を空家等と認められる場所に立ち入らせようとするときは、その5日前までに、当該空家等の所有者等にその旨を通知しなければならない。ただし、当該所有者等に対し通知することが困難であるときは、この限りでない。
4 町長は、第2項の規定により当該職員又はその委任した者を必要な場所に立ち入らせようとする場合で必要があると認めるときは、専門的な知識を有する者その他必要な者を同行させ、意見を求めることができる。
5 第2項の規定により空家等と認められる場所に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
6 第2項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(空家等の所有者等に関する情報の利用等)
第13条 町長は、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報であって氏名その他の空家等の所有者等に関するものについては、法第10条第1項の規定により、その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。
2 町長は、法第10条第3項の規定により、関係する地方公共団体の長その他の者に対して、空家等の所有者等の把握に関し必要な情報の提供を求めることができる。
(空家等に関するデータベースの整備等)
第14条 町は、空家等(建築物を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するもの(周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切に管理されているものに限る。)を除く。以下第16条までにおいて同じ。)に関するデータベースの整備その他空家等に関する正確な情報を把握するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(所有者等による空家等の適切な管理の促進)
第15条 町は、所有者等による空家等の適切な管理を促進するため、これらの者に対し、情報の提供、助言その他必要な援助を行うよう努めるものとする。
(空家等及び空家等の跡地の活用等)
第16条 町は、空家等及び空家等の跡地(土地を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するものを除く。)に関する情報の提供その他これらの活用のために必要な対策を講ずるよう努めるものとする。
2 町長は、前項の規定により認定をしようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴くものとする。
(特定空家等の所有者等を確知することができない場合の対応)
第18条 町長は、特定空家等の所有者等又はその連絡先を確知することができない場合は、当該特定空家等の所在地、特定空家等と認められるその状態を解消するために執るべき措置その他町長が必要と認める事項を公表するとともに、当該事項を記載した標識を当該特定空家等に設置することができる。
(助言又は指導)
第19条 町長は、法第14条第1項の規定により、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く。次条において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。
(勧告)
第20条 町長は、前条の規定により特定空家等に対し助言又は指導をした場合において、当該特定空家等の状態が改善されないと認めるときは、法第14条第2項の規定により、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の猶予期限を付けて、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告することができる。
(命令等)
第21条 町長は、前条の規定による勧告を受けた者が正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかった場合において、特に必要があると認めるときは、法第14条第3項の規定により、その者に対し、相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。
2 町長は、前項の措置を命じようとする場合においては、法第14条第4項の規定により、あらかじめ、その措置を命じようとする者に対し、その命じようとする措置及びその事由並びに意見書の提出先及び提出期限を記載した通知書を交付して、その措置を命じようとする者又はその代理人に意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。
3 前項の通知書の交付を受けた者は、法第14条第5項の規定により、その交付を受けた日から5日以内に、町長に対し意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。
6 第4項に規定する者は、意見の聴取に際して、証人を出席させ、かつ、自己に有利な証拠を提出することができる。
2 町長は、前項の代執行をしようとするときは、あらかじめ審議会の意見を聴かなければならない。
(公示等)
第23条 法第14条第3項の規定により必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができないとき(過失がなくて同条第1項の助言若しくは指導又は同条第2項の勧告が行われるべき者を確知することができないため同条第3項に定める手続により命令を行うことができないときを含む。)は、町長は、同条第10項の規定により、その者の負担において、その措置を自ら行い、又はその命じた者若しくは委任した者に行わせることができる。この場合においては、相当の期限を定めて、その措置を行うべき旨及びその期限までにその措置を行わないときは、町長又はその命じた者若しくは委任した者がその措置を行うべき旨をあらかじめ公告しなければならない。
2 町長は、法第14条第3項の規定による命令をした場合においては、同条第11項の規定により、標識の設置その他国土交通省令・総務省令で定める方法により、その旨を公示しなければならない。
3 法第14条第11項の標識は、同条第3項の規定による命令に係る特定空家等に設置することができる。この場合においては、当該特定空家等の所有者等は、当該標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。
(緊急安全措置)
第24条 町長は、空家等の状態に起因して、人の生命、身体又は財産に対する危険性が極めて高い場合で、これを回避するため緊急の必要があると認めるときは、これを回避するために必要な範囲で適切な措置を講ずることができる。
2 町長は、前項の措置を講ずるときは、当該空家等の所在地及び当該措置の内容を当該空家等の所有者等に通知(所有者等又はその連絡先を確知することができない場合にあっては、公告)をしなければならない。ただし、緊急かつやむを得ないと認められるときは、この限りでない。
3 第1項の措置に要した費用は、当該空家等の所有者等に負担させるものとする。
(関係機関との連携)
第25条 町は、特定空家等による危険を回避するために必要があると認めるときは、町の区域を管轄する警察その他の関係機関に対し、必要な協力を要請することができる。
(委任)
第26条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が規則で定める。
附則
この条例は、平成28年4月1日から施行する。