○甲佐町職員の分限処分の基準に関する規則
令和3年3月31日
甲佐町規則第9号
(目的)
第1条 この規則は、地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)第28条の規定に基づく降任、免職、休職等の措置の取扱いに関し、職員の分限の手続及び効果に関する条例(昭和30年甲佐町条例第20号。以下「条例」という。)に定めるもののほか、一定の事由により職責を十分に果たすことができない職員に対して厳正、かつ、適切に対応することにより、公務の適正、かつ、能率的な運営を確保することを目的とする。
(分限処分の対象職員)
第2条 法第28条の規定に基づき、分限処分の対象となる職員は、次の各号のいずれかの場合に該当する職員とする。
(1) 勤務実績不良な場合
(2) 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えられない場合
(3) 当該職に必要な適格性を欠く場合
(4) 第15条第1項の規定に基づく受診命令に違反した場合
(5) 行方不明の場合
(1) 無断欠勤、無断離席等を繰り返す職員
(2) 業務の処理を繰り返し怠る職員
(3) 初歩的な業務上のミスを繰り返す職員
(4) 業務上の重大な過失を犯した職員
(5) 職務命令に違反し、又は従わない職員
(6) 職場での暴力、暴言又は誹謗中傷を繰り返す職員
(7) 住民等との間に、頻繁にトラブルを起こし、その責めが自己に帰すると認められる職員
(8) 受診命令、療養への専念の指導等に従わない職員
(9) 前各号に掲げるもののほか、勤務実績の不良又は当該職に必要な適格性を欠くと任命権者が認める職員
3 所属長は、前項の規定により、記録した記録票及び資料等を総務課長に提出し、当該職員の状況を報告しなければならない。
(分限処分の告知)
第5条 総務課長は、前条第3項の規定による報告があったときは、当該職員と面談を行い、勤務実績不良又は適格性欠如の内容について事実確認を行うものとする。
2 総務課長は、前項の面談の他、必要に応じて当該所属長、当該所属の職員等から事情を聴取し、事実確認を行うものとする。
3 総務課長は、前2項に規定する事実確認の結果、勤務実績不良又は適格性欠如に該当すると認められる場合は、任命権者に報告するものとする。
2 任命権者は、前項の規定による弁明書の提出があったときは、当該職員又は当該職員に係る所属長その他の関係職員から事情を聴くものとする。
4 町長以外の任命権者が、前項の規定による通知をしようとするときは、あらかじめ町長と協議を行うものとする。
(警告書交付後の観察及び指導)
第7条 所属長及び総務課長は、警告書の交付後において、当該職員の状況が改善されているかどうか、継続して観察及び指導を行うものとする。
2 所属長は、警告書の交付後における当該職員の状況について、継続して記録票に記録しなければならない。
3 所属長は、毎月10日までに、当該職員に係る前月分の記録票を総務課長に提出するものとする。
4 所属長は、当該職員の勤務実績不良又は適格性欠如の改善又は是正がなされたと認めたときは、その旨を総務課長に報告するものとする。
5 総務課長は、前項の規定による報告があったときは、副町長と協議を行い、記録票の作成を中止することができる。この場合において、総務課長は、その旨を当該職員に通知するとともに任命権者に報告するものとする。
(分限処分等に係る意見の求め)
第8条 任命権者は、第4条から前条までに規定する対応措置を講じたにもかかわらず、警告書の交付から6月が経過しても当該職員の改善が見られないと判断される場合は、甲佐町職員分限懲戒等審査委員会(甲佐町職員分限懲戒等審査委員会規則(令和3年甲佐町規則第8号)に規定する甲佐町職員分限懲戒等審査委員会をいう。以下「審査委員会」という。)に対し、当該職員の分限処分及び第9条第1項に規定する個別指導の要否について、意見を求めるものとし、第2条第1号又は第3号に該当する事項の改善又は是正がなされたと認めたときは、その旨を当該職員に通知するとともに、審査委員会に報告するものとする。
2 審査委員会は、前項の規定による意見の求めがあったときは、当該職員に対する分限処分及び個別指導の要否について検討し、任命権者に意見を述べるものとする。
2 任命権者は、個別指導を行うに当たっては、当該職員に係る所属長に対し、個別指導計画書(様式第7号)を作成させるものとする。
3 所属長は、個別指導計画書を作成するに当たっては、あらかじめ総務課長及び副町長と協議を行うものとする。
4 個別指導は、第1期と第2期に区分し、それぞれ3月程度の期間を定めて行うものとする。ただし、第2期の個別指導は、第1期の個別指導の結果が良好である場合に限り行うものとする。
5 所属長は、前項の規定により個別指導を行う場合において、必要があると認めたときは、あらかじめ総務課長及び副町長と協議を行い、個別指導の期間をそれぞれ3月を限度として延長することができる。
(個別指導の実施状況の記録等)
第12条 所属長又は所属長が指定する職員は、個別指導の実施状況について、個別指導実施記録票(様式第8号)により記録するものとする。
2 所属長は、毎月10日までに、当該職員に係る前月分の個別指導実施記録票を総務課長に提出するものとする。
4 総務課長は、前項の規定による報告があったときは、あらかじめ副町長と協議を行い、個別指導を中止することができる。この場合において、総務課長は、その旨を当該職員に通知するとともに、任命権者に報告するものとする。
5 任命権者は、前項後段の規定による報告があったときは、その旨を審査委員会に報告するものとする。
6 所属長は、個別指導を終了したとき(第4項の規定により個別指導を中止したときを除く。)は、速やかに、当該職員の当該期間における記録票を作成し、総務課長に提出するものとする。
8 任命権者は、前項の規定による記録票の提出があったときは、審査委員会に対し、当該職員に対する分限処分について諮問するものとする。
(心身の故障職員への所属長の対応措置)
第13条 所属長は、当該職員が第2条第2号に該当すると認められるときは、その者の心身の故障の状況等を把握し、記録票により、遅滞なく総務課長に報告しなければならない。
(1) 3年間の休職期間を経ても、病状が回復せず、以後の職務遂行に堪えられない職員
(2) 病気休暇又は病気休職を繰り返し、直近5年間におけるこれらの期間の累計が3年間を超え、病気が回復せず、以後の職務遂行に耐えられないと見込まれる職員
(3) 病気休職中であって、以後の職務の遂行が可能となる見込がないと認められる職員
(4) 第3条第1項各号に掲げる行為が、心身の故障によるものと思われる職員
(総務課長の対応)
第14条 総務課長は、前条の規定による報告があったときは、必要に応じて、当該職員、その家族と面談等を行い、又は主治医等に連絡し、状況の把握に努めなければならない。
(1) 前条の規定により総務課長が状況を把握した結果、法第28条第1項第2号に該当する可能性が高いと認められるとき。
(2) 勤務実績不良又は適格性欠如の例に該当する場合で、その問題行動が心身の故障に起因すると思われるため、総務課長が再三にわたり医師の受診を勧めたにもかかわらず、これに従わないとき。
2 任命権者は、前項の規定により受診命令を受けた職員が正当な理由がないにもかかわらず、これに従わない場合は、法第28条第1項第3号に該当するものとして、審査委員会に対し、当該職員の分限処分について諮問するものとする。
(診断結果に基づく措置等)
第17条 任命権者は、当該職員が第15条第1項の規定に基づき受診した結果、指定医2人から療養又は休養によっても治癒しがたい心身の故障があると診断されたときは、免職処分とすることができる。
2 第13条第2項第1号又は第2号に該当する職員が、第15条の規定による受診の結果、指定医2人から前項に掲げる診断をされず、職務に復職した後1年以内に病気療養が必要となったときは、原則として免職処分とする。ただし、当該病気休暇又は病気休職の原因となった心身の内容と明らかに異なる要因によって病気療養が必要となった場合は、この限りでない。
3 第13条第2項第2号に該当する職員が、第15条の規定による受診の結果、指定医2人から第1項に掲げる診断をされたときは、免職処分とする。
4 第13条第2項第4号に該当する職員が、第15条の規定による受診の結果、指定医2人から心身の故障があり、療養に専念する必要があると診断されたときは、任命権者は、当該職員に対し療養に専念する旨を命じるものとする。
5 第13条第2項第4号に該当する職員が、第15条の規定による受診の結果、指定医2人から心身の故障があり、療養に専念する必要があると診断されなかったときは、総務課長は、所属長及び当該職員から事情を聴取した後に、所属長に対し引き続き当該職員の状況について、記録票に記録するよう指示するものとする。
(受診命令に従わない場合の措置)
第18条 第13条第2項第1号から第3号までに該当する職員が、正当な理由なく第15条に規定する受診命令に従わないときは、免職処分とする。
2 第13条第2項第4号に該当する職員が、正当な理由なく第15条に規定する受診命令に従わないときは、総務課長は、所属長に対し当該職員の状況について、記録票に記録するよう指示するものとする。
(行方不明の職員への対応)
第19条 職員が合理的な理由がなく1月以上にわたり行方不明であるときは、原則として免職処分とすることができる。
(課長等である職員が適格性を欠く職員等に該当する場合の事務処理)
第20条 総務課長である職員が第2条各号のいずれかに該当すると認められる場合におけるこの規則の規定に基づき総務課長が行うものとされる事務は、副町長が行うものとする。
2 課長(課長に相当する職を含む。)である職員が第2条各号のいずれかに該当すると認められる場合におけるこの規則の規定に基づき所属長が行うものとされる事務は、総務課長及び総務課長が指名する職員が行うものとする。
(委任)
第22条 この規則に定めるもののほか、分限処分に関し必要な事項は、別に定める。
附則
この規則は、令和3年4月1日から施行する。
別表第1(第3条関係)
分限処分の事由に該当し、対応措置が必要となる事項
勤務実績不良 | 初歩的な業務上のミスを繰り返し、業務の成果物又は処理数が職員の一般的な水準と比べて著しく劣る。 |
所定の業務の処理を行わず、又は上司への報告、相談等を怠る等独断で業務を行う。 | |
担当業務を処理することができず、常に上司その他の職員からの支援を必要とする。 | |
正当な理由がないのに業務の処理に係る期限を守らず、又はその業務を行わない。 | |
遅刻又は欠勤を繰り返し、出勤状況が悪い(事前に所属長に連絡がある場合を含む。) | |
勤務時間中に長時間、無断で頻繁に自席を離れ、又は業務に関係しない電話若しくは電子メール・インターネットに興じる等職務に専念しない。 | |
人事評価において、連続してC又はDランクの評価をされる等改善の努力が見られない。 | |
病気休暇や年次休暇が不承認となっているにもかかわらず、病気等を理由に出勤しない。 | |
担当業務のうち、自分の好む業務のみを行い、正当な理由がないのに、他の命ぜられた業務を処理しない。 | |
心身の故障 | 3年間の病気休職(復職後90日以内に再び同様の疾病のため病気休暇となった場合を含む。)の期間が満了するにもかかわらず、疾病が回復せず、今後も職務の遂行に支障がある。 |
病気休職中であるが、心肺機能停止後こん睡状態や脳死状態である等今後回復して就労が可能となる見込がない。 | |
5年にわたり病気休暇と病気休職を繰り返し、それらの累計が3年を超えても、病状が回復せず、職務の遂行に支障がある。 | |
病気休職から復職後、1年以内に再度の病気休職(心身の故障の内容が明らかに異なる場合を除く。)となり、休職期間が通算して3年に至るにもかかわらず、病状が回復せず、今後も職務の遂行に支障がある。 | |
適格性欠如 | 職務命令に違反したり、正当な理由がないのに職務命令を拒否したりする。 |
上司その他の職員に対する暴力、暴言、誹謗又は中傷を行う。 | |
上司その他の職員又は住民への対応において、揉め事を繰り返す。 | |
他者との揉め事により、当該職員本人の業務の停滞だけでなく、他の職員の業務の遂行にも悪影響を及ぼしている。 | |
粗暴な言動により、他者と揉め事を繰り返す。 | |
公務員として必要な適格性、品位及び社会的信頼に対し、疑問を抱かせるような問題行動を繰り返す。 | |
上司からの指導に対し、反抗的な態度を示し、反省又は改善の行動が見受けられず、同じようなことを繰り返す。 | |
懲戒処分を受けた者が、その後3年以内に非違行為(交通法違反、管理監督責任及び軽過失によるものを除く。)を行った。 | |
受診命令違反 | 心身の故障のため職務の遂行に支障等がある場合又は勤務実績不良若しくは適格性欠如に該当する者で、その問題行動が心身の故障に起因するものと思われる場合であって、任命権者が指定した医師への受診命令に従わない。 |
行方不明 | 水難、火災その他の災害によるもののほか、当該職員と連絡が取れず、1箇月以上にわたり行方不明である。 |
別表第2(第13条関係)
心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えられない場合の留意すべき事項
治癒し難い心身の故障があるとの診断がなされなかった場合の対応 | 第15条により指定医のうち、少なくとも1人が同項に規定する診断をしなかった場合には、法第28条第1項第2号に該当すると判断することはできず、職員本人及び主治医、産業医等と相談した上で、円滑な職場復帰を図っていくなどの対応を行う必要がある。 |
医師による適切な診断を求める努力 | 職員の心身の故障の回復の可能性及び職務遂行の可否を判断するための医師の専門的診断は、職場の実態や職員の職場における実情等に基づく必要がある。そのため、診断する医師にその実情を十分に伝え、適切な診断を求めて行くことが必要である。 |
病気休職期間からの準備満了前 | 3年間の病気休職の期間が満了する場合には、その期間満了前から、当該職員や主治医と緊密に連絡を取って病状の把握に努め、第15条に規定する指定医診断を求める必要があるかどうか検討しておく。 |
療養休暇又は病気休職の累計が3年を超える場合の対応 | 第13条第2項に該当する場合(病気休暇又は病気休職を繰り返してそれらの期間の累計が3年を超え、そのような状態が今後も継続して、職務の遂行に支障があると見込まれる場合)には、第15条の指定医の診断を求めることとなるが、当該病気休暇や病気休職の原因である心身の故障の内容が明らかに異なるときには、これには該当しないものとして取り扱う。 |
受診命令違反の場合 | 第15条の受診命令に従わない場合に行われる分限免職は、法第28条第1項第3号に基づく処分であるから、職員が正当な理由なく受診命令を拒否したことのほか、 ①当該職員が有していると思われる疾患又は心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない状況にあると認められること。 ②受診命令拒否その他の行動、態度等から、当該職員が当該職に必要な適格性を欠くと認められること。 上記①及び②を記録票により確認して行うものとする。 |