甲佐町の文化財探訪 「山出の板碑」〜平成30年1月号
「山出の板碑」
甲佐町には、現在でも多くの石造物(せきぞうぶつ)が残っています。
今回は、その中の1つである「板碑(いたび)」について述べてみようと思います。板碑は戦国時代に建立(こんりゅう)された石碑(せきひ)です。現在と違い、戦国時代の人々は主君に仕えて、戦(いくさ)に赴(おもむ)く機会が多くありました。その中で、家族に看取(みと)られることなく、戦場で命を落とすことが当たり前でした。そこで、生前(せいぜん)に自分の死後の冥福(めいふく)を祈って、仏事供養(ぶつじくよう)を行い、供養塔(くようとう)である板碑を建立しました。供養塔建立の風習は、意外と古く、仏教伝来(ぶっきょうでんらい)とも深く関わっていたものと思います。
「山出の板碑」は、現在、大武神社の鳥居の傍(かたわ)らにあります。元々は別の場所にありましたが、後の時代に現在の場所に移設されました。この板碑には、建立された年月日(1550年(天文19年)四月十一日)や建立者、阿弥陀如来(あみだにょらい)と釈迦如来(しゃかにょらい)を表す梵字(ぼんじ)が刻まれています。しかし、現在では摩耗(まもう)や酸性雨(さんせいう)の影響もあって、判読(はんどく)は難しくなっています。
町内にはこの山出の板碑を含めて、判明しているだけで下記の10カ所の板碑が確認されています。
・下豊内の逆修碑(下豊内 甲佐町指定文化財)・津志田の逆修碑(津志田 甲佐町指定文化財)
・豪淳(ごうじゅん)の碑(上揚)・上揚板碑(上揚)・白石板碑(東寒野)・とくどうさん(下豊内)
・城平(じょうびら)板碑(上早川)・四堂崎経塚(糸田)・三尊板碑(糸田)・田原板碑(田原)
皆さんの地区にも、まだまだ板碑があるかもしれません。板碑を見つけた際にはぜひ、町教育委員会へお知らせください。
文責・甲佐町文化財保護委員 石坂 妙(吉田区)
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