甲佐町の文化財探訪 「くすめき地蔵」〜平成30年6月号
更新日:2018年6月1日
「くすめき地蔵」
甲佐中学校のある内田集落から目野に至る山越えの道に大きな公孫樹(こうそんじゅ 別名=いちょう)があり、その先に石地蔵が鎮座(ちんざ)しておられる。この峠を行く人々の心を和ませている地蔵で、時折花が手向け(たむけ)てある。
このお地蔵さまは「くすめき地蔵」と呼ばれている。ここからは下り坂で目野の集落を望むことができ、石地蔵には安永2(1773)年3月の銘が入っている。
町史によると安永元(1772)年には、烈風の為堤防諸所(しょしょ)18,000余間破損す、と出ている。安永2(1773)年には、大雨、諸河洪水とある。また江戸時代は自然災害だけでなく、子どもたちは赤痢(せきり)等の疫病(えきびょう)にかかることが多かった。
そこで、お地蔵様に疫病退散のご祈祷(きとう)として男の子は火吹き竹に、女の子は杓文字(しゃもじ)に名前と年齢を書いて供えた。こうして「くすめき」退散の願いをかけるそうである。
はやり病が外部から侵入しないよう、そして自分たちの村の子どもを守るために祈ったのだろう。
ちなみに「くすめき」とは熊本弁であり「百日咳(ひゃくにちぜき)」のことらしい。
子どもを守る子育て地蔵として戦前まで各地から多くの参拝者(さんぱいしゃ)があったそうである。
文責・甲佐町文化財保護委員 赤星 眞照(有安区)
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