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甲佐町の文化財探訪 「金八(きんぱち)の森」〜令和元年7月号

更新日:2019年7月1日

「金八(きんぱち)の森

 緑川をまたぐ甲佐大橋を渡ると麻生原集落です。橋のたもとの小さな杜(やしろ)に小さな石の祠(ほこら)があります。金八水神です。この金八水神にも伝説があります。

 その一つが、以前、文化財探訪で紹介されていた竜野の猿王堂のお話です。

 力の強い乱暴な金八という男が緑川を渡って竜野村や白旗村で悪さをしていた。それを甲佐岳の猿と阿蘇の大宮司が懲らしめたというものです。

 首を切られて死んだ金八も、このままではあまりにかわいそうだと、麻生原の人々がこっそり首をとりかえし、小さな塚を作り水神さんとして祀ったというものです。

 もう一つが、昔、阿蘇大明神が、供(とも)の金八をつれて狩りに出かけられたが、獲物がなく、帰りの道に一頭の鹿を射止められた。しかし供の金八が鹿を取りに行かぬので大明神がしかると、金八はこの水神の場所まで逃げてきて、自害したといわれ、この森から大明神を祀る津志田神社に火の玉が飛んでいったというものです。

 この二つの伝説の背景には、室町時代の豪族であった阿蘇大宮司(だいぐうじ)家の分裂と八代相良(さがら)家等の戦いであると考えられます。またこの伝説は、阿蘇の鬼八(金八)法師伝説に重なるものがあります。宮崎県高千穂地方にも鬼八の話があります。

 小さな石の祠ですが、歴史の流れを知る機会になりそうです。

金八の森1



 

金八の森2



 


文責・甲佐町文化財保護委員 赤星 眞照(有安区)

 

 

 


お問い合わせ

甲佐町教育委員会 社会教育課 文化財係
電話番号:096-234-2447この記事に関するお問い合わせ


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