甲佐町の文化財探訪「甲佐町の養蚕(ようさん)について2」〜令和4年2月号
更新日:2022年2月1日
「甲佐町の養蚕(ようさん)について2」
かつて甲佐町には官営富岡製糸場(群馬県)に遅れることわずか三年で、西日本で最初の、かつ最大の民営製糸工場「緑川製糸場」があったことをご存じでしょうか?
江戸時代の細々とした家内生産的なものから、機械化による大量生産への転換です。工場誕生前の明治5年には県下10か所に養蚕試験所が設けられ、甲佐町田口村にもその中の1か所が設けられており、当時から甲佐は養蚕が盛んな地域でした。そして、明治8年に簗場のすぐ近くに嘉悦氏房(現山出区出身)らによって操業が開始されました。しかし、事業は生糸の原料になる繭を十分に確保できずに、明治15年に閉鎖します。
しかし、その後も甲佐では郡農会の主体による蚕糸業振興策の実施や、甲佐製糸株式会社が設立(大正7年)されるなど、引き続き県内でも養蚕の盛んな地域であり続けました。昭和7年には甲佐製糸株式会社は鐘紡紡績会社に譲渡され、昭和29年には「酒六(さかろく)株式会社」の製糸工場となりましたが、昭和40年代から養蚕業も次第に衰退の道を歩き始め、昭和59年まで操業しました。
今では、甲佐町で養蚕をしている人は、ほぼ皆無だと思いますが、日本経済を支えた生糸産業の行く末はどうなってしまうのでしょうか。その名残が宮内地区社会教育センターの「甲佐町民俗資料館」で一部を見ることができます。
文責・甲佐町文化財保護委員 石坂 妙(吉田区)
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