甲佐町の文化財探訪「やな場の起源にせまる史料が発見されました」〜令和4年7月号
「やな場の起源にせまる史料が発見されました」
今年は3年ぶりにやな場が再開しました。そこで、今回はこのやな場にまつわる最新の研究成果についてお話します。
これまでやな場は寛永九年(1632)に細川忠利によってつくられたとされてきました。ところが、稲葉継陽先生(熊本大学永青文庫研究センター長)が平成20年からの陣ノ内城跡の国史跡指定に向けた研究の中で、やな場の起源に迫る決定的な古文書を発見されました。
それは、幕府の役人が肥後国中を巡検する際の宿泊地として希望している「土井之内(どいのうち)」(現甲佐町豊内)について相談する細川三斎(忠興)と忠利親子の手紙によるものです。この中で三斎は「土居之内(どいのうち)」には「古肥後茶屋」があると記しています。「古肥後」とは「加藤清正」を指す語であることが分かっています。また、その茶屋は「川狩」の茶屋であるとも記されており、川漁専用の茶屋であることが明らかになりました。
このことから、やな場の起源は加藤清正の時代までさかのぼることが分かってきました。
つまり、やな場は加藤清正によって設置され、細川忠利によって復興整備されたことが明らかになった、とのことです。
今年は、やな場の起源である加藤清正に想いを馳せて久々の鮎を楽しまれてはいかがでしょうか?
なお、この研究の詳細は下記の書籍に掲載されており、町図書室で閲覧・借用できます。
稲葉 継陽 2015「第4章 付論 第1節 文献史料からみた陣ノ内館」『陣ノ内館跡』
甲佐町教育委員会
2020『歴史にいまを読む―熊本・永青文庫からの発信-』熊日新書
文責・甲佐町教育委員会 上高原 聡
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