甲佐町の文化財探訪「陣ノ内城跡への道を楽しむ」〜令和4年8・9月号
「陣ノ内城跡への道を楽しむ」
甲佐町役場の東に高さ60m程の小高い丘陵があります。ここには令和3年10月11日に国指定文化財となった陣ノ内城跡が築城されています。
この丘陵は通称「面の山(めんのやま)」と呼ばれており、陣ノ内城跡を含むこの丘陵は史跡の里でもあります。
それでは、役場から下豊内区の集落を通って陣ノ内城跡まで歩いてみましょう。
役場北側入口から170mほど東に直進すると、高さ60mほどの崖の下に突き当たります。崖の下の左手には小さな穴を見ることが出来ます。現在は中に入ることはできませんが、これは戦争遺跡である軍需工場跡の入口です。この軍需工場跡は工事未完のまま終戦となり、実際に操業することはなかったようです。
突き当たりを右手に下豊内区の中を進むと左右の人家には季節の花々が咲き乱れています。途中に崖下に上る道があります。そこは隧道(ずいどう)のある用水路で、水が滔々(とうとう)と流れています。今から170年前の江戸時代に惣庄屋(そうじょうや)木原寿八郎が開削(かいさく)した新井手(あらいで)用水です。丘陵地帯である中横田・下横田などの十町九反余りの用水として利用されている井手です。
さらに村中を600mほど歩くと、史跡陣ノ内城跡入口の看板があり、看板にしたがって左へ曲がり、少し急な坂を登ります。
新井手用水を渡ると崖沿いには木々に覆われて見えにくいのですが、下豊内横穴墓が並んでいます。
また坂道の下には、樹木が生い茂って見えませんが、下豊内の釈迦堂そして阿弥陀堂があります。この二つのお堂は帰り道に寄ることが出来ます(別の道になります)。この阿弥陀堂の横には、天文16,22年に建立された阿蘇家家臣の村山惟益(むらやまこれます)夫妻の板碑もあります。この板碑は「下豊内の逆修碑(ぎゃくしゅうひ)」として町の指定文化財となっています。
そのまま約100m登ると、見晴らしがよくなり、道の左手には薬師如来堂があります。右手には谷をはさんで松尾城跡(甲佐町指定文化財)を見ることが出来ます。
さらに、少し歩くと陣ノ内城跡に到着です。標高約100mの平坦部に陣ノ内城跡が広がっています。役場から片道約1.5km、30分程の心地よい散歩コースです。
陣ノ内城跡からは、本町が一望でき、緑川の様子も眺めることが出来ます。
甲佐の歴史を知る上で陣ノ内城跡を含む貴重な遺跡が点在するのが豊内地区です。健康のためのウオーキングにもなりますよ。
文責・甲佐町教育委員会 赤星 眞照
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