甲佐町の文化財探訪 「中山横穴群」〜平成29年10月号
更新日:2017年10月1日
「中山横穴群」
中山区の西方から錦郷川下流に沿って、横穴群(よこあなぐん)が数多く点在しています。
横穴墓は、古墳時代の後半から奈良時代(約1500年〜1300年前)ごろに見られた墓の1つで崖(がけ)に横穴を掘って作ります。内部はドーム状になっており、コの字形に区画した遺体安置所(屍床(ししょう))があります。墓内にはふつう2〜3個の屍床が設けられています。
古墳時代を代表する遺跡といえば塚原古墳群(熊本市南区城南町)ですが、この塚原古墳群の築造が終焉(えん)を迎える6世紀末に本町の横穴群へと墓制が変化していったと考えられます。
中山横穴群は、6〜7世紀のもので山裾(すそ)に現在数十基点在し、内部は三床の祭壇式になっています。もともと入口は閉塞石(ヘイソクセキ)とよばれる石でふさがれていたのですが、今はその石はありません。
この麻生原から中山にかけての錦郷川に沿った低地は、古墳時代後期から終末期には生産力が高く、多くの人が住んでいたと思われます。
本町にはここ中山横穴群、そして船津東前横穴群、下豊内横穴群があります。 緑川を挟む山々に残る横穴群や古墳をはじめ数多くの遺跡を守り、後世に残していくためにも、町民の方々の文化財に対する深い理解が必要であると思います。
文責・甲佐町文化財保護委員 赤星 眞照(有安区)
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