甲佐町の文化財探訪「迫の大乗妙典一部石塔(だいじょうみょうてんいちぶせきとう)」〜令和3年1月号
更新日:2021年1月2日
「迫の大乗妙典一部石塔(だいじょうみょうてんいちぶせきとう」
安津橋から船津の坂を登り、迫バス停(熊本バス)手前を左折した後に100m程進むと立派な石碑が建っている。この石碑は熊本大地震で倒壊したが、関係者によって再建されたものである。石碑には「大乗妙典一部石」の言葉が記してあり、その下からは文字を記した小石が出てきたそうである。
小石にお経の文字を一文字一文字書いたものは一字一石経(いちじいっせききょう)と呼ばれ、室町時代から江戸時代に流行した写経の一種である。写経された小石は地面に埋められ、その上に塔が建てられる。したがってその石が移動されていない限り、その下には経典の文字が書かれている小石が大量に埋められていることになる。
また「大乗妙典」の文字があるので、法華経の言葉が一字ずつ小石に書かれている。それを地中に埋めて、その上に建てた供養塔がこの石碑である。
横面には、この塔の発願(ほつがん)が記してある。天保14年(1844)に建立されたことがわかる。176年前の供養塔である。そこには以下の文が記してある。
天保十四年癸卯二月當時子孫弔於其塚
一齊儼乎如在由巫而伐樹倶迎其霊
銘曰嗚呼休哉先祖之��継之以喬木又継
以培以及無極
また左面には法華経の文章が記してある。
示諸衆生。一切智慧迦葉。譬如三千大千世界。山川渓谷土地。所生卉木叢林。及諸薬草。種類若干。(以下略)
経典の中から法華経の文を選び出してあることにこの地域の素養の高さを垣間見る思いがする。発願のことについては、もう少し聞き取りをし、当時の人々の思いを読み取りたい。
文責・甲佐町文化財保護委員 赤星 眞照 (有安区)
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