甲佐町の文化財探訪「宮内の金山(かなやま)」〜令和3年8月号
更新日:2021年7月20日
「宮内の金山(かなやま)」
四度目のチャレンジでやっと踏査(とうさ)することが出来ました。三度の試みは甲佐町側からの登山でしたが、道は土砂崩れにより目的地まで辿り着けず、美里町甲佐平からの経路により踏査が実現しました。
本鉱山は、明治から昭和初期にかけて銅の試掘、あるいは採掘が行われたものと思われます。地元の人たちはこれを「金山」と呼んできました。
「金山」は、広瀬区と美里町甲佐平との境界付近の山の斜面に所在し、3つの坑口(こうぐち=坑道の入口)が在りますが、雨や地震等の影響からか土砂崩れにより左の坑口はその大部分が埋まりつつあり、数年後には完全に埋没してしまうと考えられます。
福岡鉱山監督局管内「鉱区一覧」(昭和一五年七月一日現在)によると、甲佐町の宮内、竜野の試掘場所にて「金、銀、銅」が試掘された旨の記載があることから、多量ではないであろうが、実際に金(きん)が採られた可能性も否定できないようです。
甲佐町東方の険しい山地内で、金、銀、銅の鉱脈の試掘がなされたものの、本格的な採掘は出来なかったか、或いは出来たとしても継続的に採掘するだけの量が無かったと考えられます。
甲佐町の歴史を築いてきた先人達の貴重な遺産であるものの、位置的なもの、天候・気象等に左右されることから如何にして保存して行くかが苦慮するところです。
せめて、記憶と記録に残していきたいと思います。
【引用・参考文献】
甲佐町史編纂委員会 2013『新甲佐町史』
文責・甲佐町文化財保護委員 北里 義友(津志田区)
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