甲佐町の文化財探訪「新たに板碑を確認 その1」〜令和7年3月号
更新日:2025年3月1日
「新たに板碑を確認 その1」
令和6年2月27日、熊本県文化財審議員である前川清一先生に同行頂き、八丁区の十一面観音堂の近くにある個人宅地内にある石造物群について調査しました。その結果について2回に分けて紹介させて頂きます。
現地はコンクリート張りの池として利用されていたようです。池の周りには「灯篭1基」「板碑4基」「五輪塔の各部材(風空輪4基、火輪6基、水輪1基)」があります。
今回は、板碑の4基のうち2基について紹介します
【バク種字板碑】
砂岩製で地上高101cm、最大幅52cm、最大厚25cm、下部に蓮座が施されています。上部の月輪(がちりん)の中には、釈迦如来を表す「バク」)の種字(しゅじ=梵字)が刻まれています。また、板碑の中央には逆修(意味:自らの死後の冥福を祈ること。)の意味を示す文字が見られますが、剥離のため紀年銘等と共に確認できませんでした。
板碑の形態などから十六世紀半ばころの戦国時代の建立と推測されます。
【卍字板碑】
砂岩製で地上高75cm、最大幅41.5cm、最大厚57cmです。上部の月輪の中に「卍」が刻まれています。また、板碑の中央には「松屋栄秀」、その右側に「永禄十三(その下部は土中のため不明)」、左側に「四月九日」と記されています。
永禄十三年は西暦1570年にあたることから、十六世紀後半の戦国時代の建立であることが分かります。
文責・甲佐町文化財保護委員 北里 義友(津志田区)
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