甲佐町の文化財探訪「世持区「沢水池(そっつぁんいけ)」と「水神様」」〜令和4年4月号
更新日:2022年3月20日
世持区「沢水池(そっつぁんいけ)」と「水神様」
乙女台地の一角に世持(よもち)区があります。
区の規模としては戸数約35戸で、専業農家さんは少ないが、主要生産物として水稲、栗があげられ、近年桃の栽培を始められた方もいるそうです。
世持区が位置する乙女台地には大きな河川が無く、昔から農業用水の確保に苦労されていたようです。このような地形環境の中で、地区の水源としては、雨水を蓄えた二つのため池と「沢水池」と呼ばれる湧水池の水が主となっているようです。
この沢水池は世持区から南三箇区・中山区を経て、熊本市南区城南町の浜戸川へと流れる錦郷川(にしきごうがわ)の源流となっており、池の近くには「水神様」を祀(まつ)る祠(ほこら)があります。
地元の方によると、毎年4月1日には津志田八幡宮より宮司(ぐうじ)を招き、この地で穫れた野菜等をお供えし、「沢水祭(そっつぁんさい)」が執り行われます。沢水祭は現在も区内の四組による持ち回りで座元を務め、下流域の代表者の方も出席されているとのことです。
平成28年の熊本地震の影響により一時湧水が止まったものの、一昨年より少量ではあるが水が湧き出したようです。池には魚も泳いでいました。
「そっつあん」と呼ばれる由来についてはわかりませんでしたが、沢水池から受ける恩恵に感謝し、大切に守られている様子がうかがえます。
◎令和4年4月1日に執り行われた「沢水祭(そっつぁんさい)」の様子と祭壇のお供え物(令和4年4月追加)
文責・甲佐町文化財保護委員 北里 義友(津志田区)
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